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タイワンカブト(沖永良部島)飼育記録

おはこんばんちは。コロナ禍でいつ離島採集が再開できるか不安になっているバイパーです。

 

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リアルで離島いけないので、バーチャルの世界で離島に行っています。

 

さて今回は、去年沖永良部島に行った際に採集したタイワンカブトの飼育についてまとめたいと思います。

 

◆タイワンカブトについて

 

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学名:Oryctes rhinoceros

タイワンカブトの別名はサイカブト。頭から真上に伸びる角はまさにサイそのもの。種小名の"rhinoceros"もサイという意味なんですね。

日本では台湾からの移入種として奄美大島以南の南西諸島に広く分布します。

サトウキビやヤシなどを食害する他、大東諸島では在来のヒサマツサイカブトOryctes hisamatsui)との競合が懸念され、防除作業が行われているようです。

南西諸島とはいえ国内で繁殖で定着している種のため、定着範囲を広げない為にも飼育する際は逃がさないようより一層注意しないといけないですね。放虫ダメゼッタイ!

 

海外にもユーラシア大陸東部~東南アジア、ニューギニア、オーストラリア、フィジーモーリシャス、レユニオンとかなり広範囲に生息しているとのこと。

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マレーシアへ採集へ行った際も灯火に来ていました。

◆入手方法

 

今回は2019年6月に沖永良部島にて採集しました。外灯近くに落ちていたやつを拾いました。

食草に穿孔して採餌するため、ヤシやサトウキビに来ているのを採るのは大変だと思います。灯火採集が一番楽でしょう。

ただし、力が強く他の昆虫よりも脱走能力が高い為、採集した個体をしまっておくケースは丈夫なものを選びましょう。

せっかく採集したのに逃げてしまっては悲しいですし、移動中に定着してない場所で逃げてしまった場合はそこで帰化してしまう恐れもありますからね。

 

◆成虫飼育

 

昆虫ゼリーを普通に食べます。そして、そこそこ長生きします。今回野外採集した個体は通年20~24度で飼育し、2020年の春まで生きていました。もうちょっと頑張れば、成虫になった子供と並べることができたと思います。

また、先述の通り脱走能力が高い為ちゃんとした飼育ケースで飼いましょう。プリンカップやタッパー、ケースとフタの間に挟んだコバエ防止シートなどは簡単に破壊されてしまうでしょう。

自分はスタックケースミニやクリアースライダーで飼ってました。

 

◆産卵

 

2019年7月3日に♀単体でセットしました。産卵セットは国産カブトと同じ感覚で中プラケに使用済みの廃菌床マットを詰めました。

一か月後の8月2日に掘り出し。幼虫5匹と卵4個。多分再セットすればもうちょっと産むと思いますが、そんなにたくさんいらなかったのでこれで止めておきました。

 

◆幼虫飼育

 

800ccのボトルに廃菌床マットを詰めて一匹ずつ飼いました。3か月ごとにマットを全替えし、2020年春頃には皆一斉に蛹室を作り始めました。普通のカブトムシと同じ感覚で特に気を付けることもなく、9匹中8匹が無事に羽化しました。

2月交換時の最終体重が雌雄共に20g前後。40~45㎜で羽化しました。

 

◆♂♀の判別

 

タイワンカブトには♀にも角が生えています。ですので普通のカブトムシの感覚で角のあるなしでは見分けることができません。

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♀にも角がある。一応、♂よりもちょっと短い気がする。

ただし、以下のポイントを押さえれば比較的簡単に見分けることができます。

 

1.前胸背板突起の形状

 

角になりかけのような形の突起が、♂はとがり、♀は丸みを帯びる傾向があります。

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♂ 内の突起がとがります。山が二つあるイメージ。

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♀ 突起が丸みを帯びる。台形の山が一つあるイメージ

・・・写真だといまいちわかりませんね。ただ、実物を見ると結構違います。後はキミたちの目で確かめてみよう!!

 

2.臀部の毛の量

 

お尻の毛の量が違います。♂はほとんど毛がなく、♀は毛の量が多いです。

 

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左が♂で右が♀。♀の方が黄色みを帯びた毛が生えている。

産卵時に土が付いて邪魔になるのを防ぐ毛でしょうね。これはかなり分かりやすいと思います。

 

他にも前胸背板のくぼみの幅が違うようです。ただ、私にはわかりませんでした…。

 

◆まとめ

 

国産カブトムシを飼育したことがあれば、簡単に羽化まで持っていけます。生息している離島に行った際に拾うことができれば、一回繁殖させてみるのもありかと思います。野外品だと傷があったり符節が取れている場合も多いので、飼育でしか得られないピカピカの新成虫は一見の価値ありです。

ただし、国内で定着が確認されている種でもあるので、脱走には十分に注意が必要ですね。